シニア世代になると、残りの人生は自分らしく生きたいと考えようになり、終活を始める人が増えています。
しかし、いつ、何から始めたら良いのか分からないと、時間だけが無駄に過ぎてしまいます。
特に、終活の中で最も重要なイベントである葬式は、後悔しない自分らしい最後を迎えるために、いくつかのポイントがあります。
これから終活を始める、自分らしい葬式で最後を迎えたいという方に、「葬式を考えるタイミング」や「葬式の準備に関わるポイント」について解説します。
自分の葬式をネガティブと捉えず、豊かな老後を過ごすための第一歩として考える人は、ぜひ、ご一読ください。
終活を考えるタイミングとは?
終活を考えるタイミングは、個人の考え方によって異なりますが、目安となるタイミングを考えておかないと、準備が遅れ、後悔が残るかもしれません。
気力や体力がある間に行動を起こすことが大切です。
ここでは、終活を考えるタイミングを3つ紹介します。
- 仕事が定年を迎えた
- 病気になった
- 親戚の人や友人が亡くなった
①仕事が定年を迎えた
終活を始めるタイミングの多くは、定年を迎えて仕事から解放された時です。
ライフスタイルが大きく変わり、自由な時間ができ、今後の人生を考える余裕ができた時こそ、人生のエンディングを迎えるまでのストーリーを考える良い機会です。
②病気になった
病気になると、自分の健康に不安を感じ、今後の将来が見通せなくなる方もいるでしょう。
特に、家族に対して、通院や介護などで心配をかけたくないと考え始めたら、終活も視野に入ります。
健康の大切さを感じるとともに、家族に迷惑をかけたくない気持ちになる時期も、終活を深く考えるきっかけになります。
③親戚の人や友人が亡くなった
親戚の人や友人が亡くなると、終活を考えるタイミングともいえます。
日頃から身近な人の死に直面することで、残された家族にできる限りのことをしておきたいと考えるようになり、自身の葬式も視野に入る1つのきっかけになります。
葬式の準備は何から始める?
終活の目的は、いつか必ず訪れる「死」に対して準備することですが、中でも「葬式」は、特に大切な終活です。
しかし、最も重要な儀式ともいえる「葬式」は、事前の準備をしっかりしておかないと、家族の理解が得られず、自分の考えを伝えられません。
ここでは、葬式の準備を始めるに当たって、何から行動すればよいのか、具体的に紹介します。
葬式の種類を決める
初めに、葬式の種類を決めておく必要があります。
葬式のスタイルは、一般葬と思われるようですが、費用を抑えたい方は、家族葬や一日葬、直葬というスタイルもあります。
具体的な葬式の種類や特徴、費用の相場については、次の表を参考にしてください。
葬式の種類と費用
葬式の種類や特徴、費用は、一般的に次のとおりです。
葬式の種類 | 特徴 | 費用の相場 | |
---|---|---|---|
従来の葬式 | 一般葬 | 【立派な葬式】 家族や親族だけでなく、一般の人も参列できる葬式 | 約100~200万円 (参列者の人数や規模にもより増減する) |
現代の葬式 | 家族葬 | 【故人に共感した葬式】 家族を中心に、親戚や親しい友人を中心とした葬式 | 60~100万円 |
一日葬 | 【故人の遺志を尊重した葬式】 通夜、法要をせず、告別式や火葬を1日で執り行う葬式 | 20~60万円 | |
直葬 | 【費用を抑えた葬式】 通夜、法要、告別式を一切せず、火葬だけを執り行う葬式 | 約20万円 |
葬儀会社を決める
葬式の種類を決めれば、次は、葬儀会社を決めなければなりませんが、葬儀会社は、大小さまざまで、広告やネット情報では、詳しく分かりません。
また、葬儀会社によっては、具体的な説明もなく、必要のないオプションを追加した費用を請求される可能性があります。
このような悪質な葬儀会社を避けるためにも、葬儀会社選びは大切です。
最低限必要な見積りで、詳細な内訳が分かるプランを提供している
追加費用が発生する場合、事前に説明、見積りに提示している
葬式の準備からお見送りまで携わり、周囲に気配りができるスタッフが在籍している
葬式の実績やスタッフの知識が豊富で、納得できる説明が受けられる
スタッフの対応が早い
なお、1社だけに限定せず、複数の葬儀会社で見積りを取り、葬儀費用に大差ない場合は、5つのポイントを参考に、選ぶことが大切です。
葬式のプランを決める
葬式の種類と葬儀会社が決まれば、プランを決めておきましょう。
葬式は、小規模で質素なプランほど費用は安くなりますが、葬式の費用を一式でセットプランとして用意している葬儀会社もあります。
参列者の人数を予め想定し、大まかな費用を決めて、プランを選んでも良いでしょう。
ただし、葬式の種類が同じでも、オプションの有無によって、費用が異なっている場合もありますので、注意が必要です。
遺影を用意する
終活の段階で遺影を用意しておけば、自分が気に入っている写真を選べます。
家族との思い出の写真を使う、または写真館のスタジオで撮る方法がありますので、忘れないよう用意しておきましょう。
後悔しない葬式とは?
自分らしく後悔しない葬式にするためには、事前に押さえておくポイントがあります。
葬式は、家族が執り行うため、本人の問題だけではありません。
ここでは、後悔しない葬式にするための3つのポイントを紹介します。
①家族の理解を得ておく
一番大きな問題は、葬式の規模や費用でしょう。
本人が望む葬式と家族が望む葬式に意見が異なっていれば、お互いが納得する葬式ができません。
本人が望んでいる葬式の種類や規模、プランを家族に伝え、理解を得ておくことは大切です。
また、葬式の費用を用意し、支払いは誰がするのかを決めておくのも、後に家族間のトラブルを防ぐためにも大切です。
②僧侶を決めておく
葬式を執り行う際の僧侶を決めておくことも大切です。
檀家の場合は、僧侶は決まっていますが、核家族化が進んだ現代では、僧侶にお世話になる機会は、ほぼありません。
自分の宗派を知り、親戚に確認するなど、僧侶と関わりを持ち、頼んでおくことも大切です。
③参列者をリストアップしておく
葬式の参列者をリストアップしておけば、スムーズに連絡が取れ、家族の負担は減ります。
自分の親戚や交友関係を書き出しておけば、葬式の規模がイメージでき、参列して欲しい方も明確に分かります。
なお、リストは、参列をお願いしたい方を中心に作成しますが、年賀状の挨拶程度で、遠方の親戚や友人で親交が深くないと判断すれば、別のリストを作成し、配偶者や家族も容易に判別できるようにしておきしょう。
身寄りのない、または独身者の場合の葬式はどうする?
家族がなく、親戚づきあいもないなど、身寄りがない、または独身者の葬式の準備は気になるものです。
誰にも迷惑をかけたくない、自分で最後を迎えたいという気持ちがあっても、どうすればよいのか悩みは尽きません。
誰でも孤独死は避けたいものです。
孤独死を避けるためには、次の6つの行動のいずれかを組み合わせておけば、安心です。
- 日頃から周囲とコミュニケーションを取る
- 自治体やお住いの自治会に伝えておく
- 民間会社の見守りなどのサービスを利用する
- 入居する施設に相談する
- 福祉協議会に相談する
- 終活をサポートする会社に相談する
①日頃から周囲とコミュニケーションを取る
日頃から周囲とコミュニケーションを取ることで、自分の存在を知ってもらうことです。
日常生活の中で近所の方と会話する、趣味や習い事、コミュニティの場に積極的に参加することが大切です。
②自治体やお住いの自治会に伝えておく
お住いの自治体の福祉課または自治会にひとり暮らしであることを伝えておけば、定期的な訪問が受けられ、安心です。
③民間会社の見守りなどのサービスを利用する
ホームセキュリティーのサービスを提供する民間会社の見守りなどのサービスを利用すれば、連絡が取れない状態になっても、駆けつけてくれます。
また、訪問サービスを利用すれば、定期的なサポートを受けられるため、一人暮らしでも安心です。
④入居する施設に相談する
一人住まいが不安な場合は、施設の入居を検討してもいいでしょう。
ただし、施設により、入居条件や利用料金は異なりますので、注意が必要です。
⑤福祉協議会に相談する
お住いの社会福祉協機会に相談する方法もあります。
ただし、福祉協議会によって、サポート内容は異なりますので、一度、お住いの福祉協議会に相談してみることもおすすめです。
⑥終活をサポートする会社に相談する
死後、周囲に迷惑をかけたくないという方は、終活をサポートする会社を利用し、サポートを受けることもできます。
葬式にとどまらず、お墓や納骨など終活に関わるすべてのサポートを受けられます。
まとめ
終活は、自分の人生を振り返る時間でもあり、場所でもあります。
しかし、一般的には、人生の終焉を迎えるイメージが強く、分かっていても、行動に移せない人もいるでしょう。
また、目をそむけば、その時間が無駄になってしまいます。
特に葬式に関しては、知識や情報が少ないと、後悔のない自分らしい葬式にはなりません。
家族に迷惑をかけず、納得できるエンディングを迎えるためにも、しっかりと事前に準備しておくことが大事ですよ。