海外での終活で気を付けておきたいこと7選
終活」という言葉が流行してから長い月日が経ちました。月日の経過とともに、終活がしっかりと私たちの生活に定着してきたように感じます。 今の社会は繋がりが薄れ、核家族化が進んでいます。家族が亡くなったあとに相続などのトラブルが頻発しています。 終活の必要性が高まってきた現代だからこそ、終活が日本に定着したのかもしれません。 死後の手続きによるトラブルは日本でもよく起こっています。海外在住の方の場合は、日本での終活以上に気を付けておくことや決めておくべきことがあります。 海外在住で終活するとき、「何から終活を始めたらいいか分からない」と悩む人も多いのではないでしょうか。 本記事では、「海外での終活で気を付けておきたいこと」を紹介しています。 終活をするときのポイントをおさえ、相続の準備をしておきましょう。
この記事でわかること
  • 海外在住者が終活を必要とする理由
  • 死後の希望、葬儀の流れ
  • 遺骨の取り扱いについて
  • 医療や介護に関する希望
  • 保有財産、負債の明確化
  • 海外の相続制度
  • 日本に残してきた財産と遺言
  • 生前贈与と、その注意点

どうして海外に住んでいても終活が必要?

どうして海外に住んでいても終活が必要?
日本で終活という風習が根付いたのはここ10年ほどの間です。しかし、実は海外ではもっと前から終活の風習がありました。 海外ではトラブルにより訴訟が起こることも珍しくなく、死亡による相続発生をきっかけに遺族間で対立して訴訟に発展することがよくあります。 特に海外在住の方の終活の場合、国によって法律が異なりますので、トラブルが起こりやすいのです。 海外でも、死亡によるトラブルを回避するために、財産や死後の取り扱いなどをしっかりと生前に決めておくことが多いのです。 また、海外に住んでいる場合、日本に住んでいるご家族が死後の手続きのために何度も海外に来ることは難しいと言えます。 長時間の移動時間はもちろん、言葉が通じない海外での手続きは、ご家族にとって大きな負担となります。 日本で過ごすご家族のためにも、事前に終活を行うことをおすすめします。

海外在住の人が終活するうえで決めておくべきこと7項目

海外在住の人が終活するうえで決めておくべきこと7項目

終活では、死後の希望を明確にして、葬儀について知っておく

日本では、死後はお葬式を行い、火葬、墓地へ埋葬、という流れが一般的です。 ご家族が亡くなった後には、葬儀業者を決めてお葬式の段取り、親戚や友人への連絡、火葬の段取りなど、決めなければならないことがたくさんあります。 特に、お葬式の規模や段取りなどには、お寺がかかわることが多く、どのようにしたらいいのか分からないという家族も多いです。 海外の場合は、宗教が生活に根付いており、葬儀や埋葬方法などがすでにおおよそ決まっています。 信仰する宗教によっては、定期的に教会へお祈りに行く信者も多く、亡くなった後の葬儀を教会で行う風習となっていることもあります。 そのため、海外での終活の場合は、まずは信仰する宗教の葬儀の流れを知ることから始まります。 また、その風習を家族にもしっかり共有しておく必要があります。訃報を聞いて駆け付けるご家族にも、慣れない国の事情や風習などに心構えができます。

海外の火葬、埋葬する場所を決めておく

日本では亡くなった後は火葬することになっています。しかし、海外では土葬を行う国が多くあります。 海外に住んでいた親を日本のお墓で供養したいと考えるご家族も多いでしょう。 しかし、亡くなった後に日本で火葬する場合、多額の費用がかかります。 日本へご遺体を搬送するには防腐処理が必要となり、だいたい20万円~30万円かかると言われています。 さらに出国元によっては30万円をこえる輸送料金がかかることがあります。 その他、ご遺族の旅費や、日本国内での移動費用などがかかってきます。 ご遺体を日本へ搬送する場合にはご家族の了承と金銭面の準備が必須といえます。 一方で、海外で火葬したご遺骨を日本のお墓に入れる場合、手荷物扱いで航空機を利用することができます。 お住いの国で火葬を行っているようであれば、ご家族の希望を確認したうえで生前に問い合わせをしておくといいでしょう。 海外のお墓を利用するとご家族が供養しづらいため、ご遺骨だけ日本でおさめる、 という選択肢もありますので、日本にいるご家族とも相談したうえで決めておきましょう。

終活の重要ポイント。医療や介護に関する意志を固める

長く海外に住み続けることになると、病院にお世話になることが多いでしょう。特に終活においては、医療や介護の問題は避けて通れません。 日本の現在の医療は、延命措置がとられることが多くありますが、病状が重い場合にご本人が積極的な治療をのぞまないことがあります。 海外では尊厳死といい、ご本人の意志により治療や延命措置を行わないことを選択できる国があります。 特に、海外ではご家族の意見よりご本人の意志を尊重して医療を提供する場合が多いです。 また、ヨーロッパ地域を中心に介護制度を手厚く整備している国もあります。 医療や介護は、ご本人の生命に関する重要なことですので、終活を機に考えてみることをおすすめします。 また、日本語が通じないために、医師にうまく話を通すことができないことが考えられます。 延命措置や治療方針はご自身にとって生命に直結する大切な話です。 通訳を段取りしたり、外国人向けの医療機関を把握したりしておくことも、終活の一歩といえます。

財産の所在をリスト化しておく、負債を把握する

終活で大切なことは財産の管理です。 海外在住の場合は、ご本人の死後にご家族が何度も往復することが難しいので、財産の管理は必須といえます。 ご家族の負担を軽くするために、生前から不要なものを処分しておくことが大切です。 特に、ご本人にとっての思い出の品は、判断に迷いやすいものです。 できる限り、ご本人が健在のうちに少しずつ整理しておきましょう。 特に賃貸物件で生活していた場合、死後の立ち退きを急がなければなりません。 日本よりも不動産の明け渡しなどの法律が厳密に定まっていることが多いためです。 キリスト教では、死後に生前の物をあの世へ持っていくことができないと考えられ、遺品は現世で流通することとなります。 遺品はあくまでモノであると考えられ、自宅で遺品を販売する即売会のようなものが開かれます。 エステートセールと呼ばれますが、ご遺族が行うこともあれば、業者が行うこともあります。 ご遺族が行う場合、物はできる限り少ないほうが負担を考えると望ましいでしょう。 また、預金通帳や株などの電子化が進み、財産があることを誰も知らなかった、ということがあります。 ログインに必要なID、パスワードなどはまとめて管理しておき、ご家族には置いてある場所を伝えておくなど、本人がいなくても手続きができる準備をしておきましょう。 また、貯金や不動産だけではなく、借金などの負債をしっかり確認しましょう。 相続では、借金などのマイナスの資産も、引き継がれることになっています。 負債がある場合は、まずは、生前にその借金を減らす準備を行います。 無理のない範囲で預貯金から返済していくことがいいでしょう。 さらに、相続する可能性のあるご家族には、負債があることを必ず説明しておきましょう。 相続してはじめて借金があったことが分かった、という事態はご家族にとっても困ります。 事前に知っておくと、財産も負債も何も相続しない「相続放棄」という選択肢をご家族が検討することができます。 相続は終活で最も重要な事項のひとつです。できるだけ早く、財産を確認したうえでご家族に相談しておきましょう。

海外の相続制度を調べておく

日本の民法制度では、配偶者や子、兄弟姉妹が相続人となります。 海外では、配偶者がいる場合、配偶者のみが相続する、と定められた国もあります。 誰が相続する権利を持つかは、国によって異なります。必ず相続人を確認しておきましょう。 また、日本国内に住む相続人が、海外に住む親の財産を相続する場合、日本の相続税がかかってきます。 一方で、海外にある資産には、その国の法律で決まった税を納める必要があります。 二重に相続税がかかってしまった場合には、日本の税制では「外国税額控除」という制度があります。 この制度を利用すると相続税が日本と海外とで重複してかかることを避けられます。 しかし、日本と海外の両方の税制に関係しますので、終活の際にはお住いの国で相続に詳しい弁護士を探しておき、ご家族が住む日本でも相続に詳しい弁護士を探しておきましょう。 日本と海外でのやり取りが必要となってきますので、できれば、海外で探す弁護士は日本のご家族と調整してくれる人がいいでしょう。

日本の財産を管理、相続するための遺言書を作成する

先ほどお伝えしたとおり、海外に住んでいても、日本に土地などの不動産がある場合は日本での相続を考えなければなりません。 よくある場合としては、子供が日本に住んでいて、親名義の家に住んでいる場合です。その場合、親が亡くなると日本でも相続が発生することになります 相続によるトラブルを回避するためにも、日本での遺言書の作成をおすすめします。 日本では、公証役場で証人立会のもと作成する公正証書遺言という制度があります。 公証人が遺言書を作成してくれるので、不備なく、有効な遺言書を作ることができます。 日本の公証役場で作ることがほとんどですが、お住いの海外の日本領事館でも作成することができます。 しかし、日本の公正証書遺言と形式が異なるため、手続き時に拒否を受ける可能性があります。 日本に帰国する可能性があるならば、いったん自書で一時的に遺言を作っておき、帰国時に公正証書遺言を作成する方法もあります。 また、遺言作成時には、遺言執行者といって遺言に書かれたことを実行する人を決めておくことをおすすめします。 つまり、相続の代表者です。 銀行や役所などで相続の手続きをする時に、代表者がいないと、相手は誰と話をすればいいのか分かりません。 拒否を受ける可能性もありますので、必ず遺言執行者を決めておくようにしましょう。

生前贈与で財産を先に贈与することを検討する

相続は、ご本人の死亡により始まりますが、ご本人が健在のうちから行うことができる制度が「生前贈与」です。 贈与する相手をご本人が決められますので、もちろん相続予定のご家族に贈ることもできます。 生前贈与の注意事項としては、贈与税がかかることです。 現在の日本の制度では、1月から12月までの一年間で贈与額が110万円以下であれば贈与税が課税されません。 贈与額が上限を超えないように少しずつ財産を贈与することにより、今から相続の準備をすることができます。

海外在住者の終活まとめ

海外在住者の終活は、住んでいる国の制度と、日本の制度の両方を考える必要があり、難しいと感じてしまうかもしれません。 しかし、決めておくことは日本の終活とそれほど変わりません。 意思を決定するために、国の風習や、法律、税制度などが関わってくるにすぎないのです。 日本に住むご家族の負担を軽くするためにも、少しずつ終活をしていくことをおすすめします。

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