終活において生前整理は非常に重要です。生前整理とは、生前のうちに身の回りのものを整理しておくことで、死後に家族の負担を軽くするためのものです。
しかし、いつ万が一のことが起こるか分かりません。20代や30代でも、病気や事故に無縁とは言い切れないでしょう。
それでは、いつから生前整理を始めたらいいのでしょうか。今回の記事では生前整理を行うメリットや、生前整理の進め方についてお伝えしていきます。
生前整理は、するべきことがたくさんあります。そのため生前整理を始めることは大変と感じるかもしれません。無理をせずに、少しずつ生前整理を進めていきましょう。
- 生前整理のメリット
- 生前整理の始め方・進め方
- 生前整理の業者選びと費用相場
生前整理とは?
生前整理とは、生前のうちにあなたの身の回りのものを整理することです。生前整理するものは、自宅にある不用品だけではありません。大切な書類や貴重品を纏めて保管することや、預貯金や生命保険などの資産や財産を整理することも生前整理といえます。さらに、死後の相続に備えて、遺言書の作成や財産目録を作成する場合もあります。
万が一のときに、残された家族が困らないようにするために、生前整理が非常に重要といえるでしょう。
生前整理のメリット
生前整理のメリットは、次の4つです。
- 自宅を片付けることで、スペースが広くなる
- 不用品を処分しておくことで、家族が遺品を整理する負担を軽くできる
- 万が一に備えて、本人や家族が貴重品や書類の保管場所を把握できる
- 財産や資産を把握し、相続の準備ができる
生前整理でまず行うことは、自宅を整理して、必要なものと不必要なものに分けることです。不用品を処分することで、広くなった自宅のスペースを有効に活用することができるでしょう。また、物が少なくなることで本人が物の管理をしやすくなりますし、遺品整理の際に家族の負担を軽減することにつながります。
さらに、貴重品や大切な書類など、必要なものをまとめておくことで、万が一の際に家族が手続きに困らないように対策しておくことができます。さらに、生前整理を行うことで、今保有している財産が把握でき、これからの生活の見通しがより具体的に立てられます。財産や資産の把握は、将来発生する相続へ備えることにもなりますよ。
生前整理と老前整理の違い
生前整理と老前整理の違いは、「誰が行うか」と「誰のために行うか」です。
生前整理は、本人のためにもなりますが、やはり万が一に備え、家族の負担を軽減するために行うと言えるでしょう。また、生前整理する人は、本人や家族です。一方で、老前整理は、あくまで本人が自分のために、今をよりよく生きたり、老後に備えたりするために行います。老前整理では、死後に備えるという意味合いはあまり持っていません。
生前整理も老前整理も、身の回りを整理するという意味では同じですが、整理する人や、整理する目的が異なると言えるでしょう。
生前整理を始めるタイミング
生前整理を始めるタイミングに決まりはありません。終活や生前整理を意識したときから、進めていくといいでしょう。
生前整理では身の回りの片付けや、預貯金や貴重品など財産の整理を行います。生前整理にはするべきことが多く、時間や体力、気力が必要になります。短時間で終わらせることが難しいため、判断能力がしっかりしていて、体の不調を感じていない時期から始めることをおすすめします。少しずつ無理のない範囲で生前整理を始めていくといいでしょう。
生前整理の始め方・進め方
生前整理の始め方について、これからお伝えしていきます。実際にどのように進めていくのか、合わせてお伝えします。生前整理しようと考えている方は是非参考にしてみてください。生前整理では、するべきことが多いので、短期間で終わらせようとすると大変です。家族にも協力してもらいながら、ひとつずつ進めていきましょう。
始め方①:貴重品をまとめる
まずは、大切なものを誤って捨ててしまわないように、貴重品をまとめて保管しておきましょう。まとめておくことで、入院によって家族や知人に頼み事をする場合や、万が一の時に家族が手続きする場合にスムーズとなるでしょう。
貴重品とは、保険証や年金手帳、マイナンバーカード、生命保険の保険証券など、手続きに必要となる書類だけではありません。通帳や印鑑、株式などの有価証券、貴金属や契約書類、権利書など、相続で必要となるものも含まれます。
捨ててしまうと困る貴重品は、まとめて保管しておくと安心です。
始め方②:不要な物を捨てる
不要な物を捨てることは、生前整理において非常に大切です。まずは必要なものと不用品を分別していきましょう。不用品は、廃棄する方法の他に、人に譲ったり、リサイクルショップなどで売却する方法もあります。近年普及したフリマアプリを利用するのもいいでしょう。
粗大ごみの場合、通常のごみとして処分できません。回収費用や処分費用が必要となる場合がありますので、粗大ごみの持込や回収について、事前にお住いの市区町村に確認するといいでしょう。
始め方③:財産目録を作る
生前整理では、相続を進めたり、将来の収支を見直したりするために財産目録を作ります。財産目録とは、あなたが保有する財産や資産を一覧表にしたものです。財産や資産には、不動産や預貯金、株式などの有価証券だけでなく、加入する生命保険や価値のある美術品、骨董品などを含めて作成します。
また、相続では借金などの負債も対象となります。家族の迷惑とならないように、負債も財産目録に必ず記入しましょう。
さらに、財産目録を作成すると、今の資産状況が分かります。老後の生活について、より具体的に考えることができるでしょう。
始め方④:遺品整理をする
死後に家族が処分に迷ってしまうものは、生前に遺品整理しておきましょう。思い出の品や写真などは、特に家族が処分に迷ってしまう遺品です。価値の分かるあなた自身がまずは整理しておくと、家族も迷わずにすむでしょう。
また、近年ではデジタル遺品を整理することが生前整理で重要となります。デジタル遺品とは、パソコンやスマートフォンに保存されたデータや、SNSやサブスクリプション契約のアカウントなどのことです。
不要なデータや、使っていないSNSやサブスクリプション契約は解約し整理しておくといいでしょう。死後に家族が登録を解約したり、支払したりする手間を省くことができます。
始め方⑤:遺言書やエンディングノートを作成する
遺言書やエンディングノートを作成すると、生前整理をスムーズに進めることができます。
遺言書は相続のために作成する、法的効力をもった書類です。規則に従って遺言書を作成することで、貴方が望む相続を実現させたり、家族間でのトラブルを回避したりできるでしょう。
エンディングノートとは、終活で考えるべきことやしておくべきことをまとめているノートです。遺言書と違い法的効力はありませんが、あなたの今までの人生を振り返ったり、今後どのように生きていきたいかを考えたりするきっかけとなります。
家族へのメッセージを残すこともできますし、財産目録の作成やデジタル遺品の整理にも役立ちますよ。
始め方⑥:家族に相談する
家族に相談することは、生前整理だけでなく終活全体で非常に重要です。遺言書の有無について知っておくことで、相続をスムーズに進めることができます。
重要な書類や貴重品の場所を把握しておくと、万が一の場合だけでなく、入院など本人が不在となっても手続きに困らないでしょう。さらに、遺品整理など死後の希望について相談しておくことで、家族があなたの意志を尊重してくれるでしょう。
あなたの希望を家族に知っておいてもらうためにも、生前整理について家族に相談しておきましょう。
生前整理の業者選びと費用相場
生前整理の業者を選ぶポイントについてお伝えします。生前整理には、時間や手間がかかります。忙しくて時間が取れない人は、生前整理業者に依頼することを検討するのもいいでしょう。
生前整理業者の場合、必要なものと不用品を分類し、処分や片付けを依頼することができます。生前整理についてアドバイスを貰いながら進められるので、効率的に生前整理を行うことができるでしょう。
また、遺言書の作成や、相続税や相続の手続きに不安を感じている人は、弁護士や税理士に相談してみましょう。弁護士や税理士に手続きを依頼した時にかかる、費用相場もご紹介します。
生前整理業者の費用相場
生前整理業者の費用相場についてお伝えします。生前整理にかかる費用は業者によって違いますが、生前整理する家の間取りや大きさで、費用相場を設定している業者が多いです。
1K~1LDK 5万円~20万円程度
2DK~2LDK 10万円~30万円程度
3DK~3LDK 15万円~50万円程度
これらはあくまで目安であり、実際には部屋の広さや処分する不用品の量や、依頼内容によって、費用は大きく変わります。
上記の費用相場を参考にしつつ、見積を複数社に依頼し、自宅の生前整理の相場感を知っておきましょう。見積の際には、料金に含まれる内容や追加料金の有無などについてしっかり確認しておくと、後でトラブルになりづらいでしょう。
遺品の買取相場
遺品の買取相場は、品物や保管状態によって大きく異なります。
遺品整理で見つかるもののうち、よく買取してもらえるものは、骨董品や絵画などの美術品や、宝石や着物などです。
その他、おもちゃや切手などのコレクションも、入手困難なため買取価格が高くなる可能性があります。
遺品には、家族が見ただけでは、価値が分かりづらいものが多いと言えます。価値がなさそうに見えても、買取業者に査定を依頼するといいでしょう。
弁護士や税理士の費用相場
弁護士や税理士に、遺言書の作成や相続の手続きを依頼した時の費用相場をお伝えします。
弁護士に遺言書の作成を依頼するときは、10万円~20万円を目安にするといいでしょう。ただし、相続関係が複雑であったり、相続遺産が多い場合などは、費用が上乗せとなります。
相続手続きを弁護士に依頼する場合は、依頼者本人が相続する財産の価値によって費用が大きく異なります。相続に関して当事者が納得しており、相続の事務手続きだけ依頼する場合は、数万円~100万円が目安となります。相続でトラブルとなった場合は、相続する遺産が1,000万円なら150万円の弁護士費用を目安にするといいでしょう。
税理士には、相続税を申告する手続きについて依頼することができます。費用相場は、遺産総額の0.5%~1%を目安とするといいでしょう。たとえば、相続財産が全部で5,000万円なら、税理士報酬は25万円~50万円を目安とします。
生前整理の始め方まとめ
今回の記事では、生前整理の始め方についてお伝えしました。
生前整理はいつから始めるという決まりはありませんので、思い立った時から少しずつ始めるといいでしょう。判断力や体力、気力がしっかりしている時期から始めるのがおすすめです。
生前整理では、生前から遺品整理や相続に備えることができるので、家族の負担を軽減することにつながるでしょう。
本人にとっても、自宅を整理でき、貴重品などをまとめて管理することができます。生前に相続を意識できるため、遺言書の準備もスムーズにできるでしょう。
生前整理では、まずは捨ててはいけない貴重品をまとめてから、不用品を処分していきましょう。思い出の品や写真など、家族が判断に迷う遺品は生前に整理しておきます。デジタル遺品も合わせて整理しておきましょう。
保管する貴重品などのうち、相続の対象となる資産は、財産目録を作る時に必ず記入します。必要に応じて、遺言書を作成しておくと、相続がスムーズに進められるでしょう。
相続や生前整理について、家族に相談しておくことも重要です。家族と情報を共有しておきましょう。